8月読書会 ハンナ・アーレント『自由とは何か』

先日、zoomを使ったオンライン読書会を実施しました。参加者はM1の学生2人と教育学部4年の学部生1人でした。

今回の課題文献は、ハンナ・アーレントのエッセー、『自由とは何か(What is Freedom?)』でした。『過去と未来の間』という著作集に収録されています。

アーレントの英語は初めて読んだのですが、非常に読みづらく(もちろん私自身の英語力の低さも相まってではありますが)苦戦しました…。

内容として面白かったのは、アーレントは、自由を「意思の属性」ではなく「なすことと行動することに付随する」と考えていたことです。
アーレントによると、古代ギリシャでは、何かを始め、導き、統べることと何かを成し遂げることが別の同士であらわされていました。現代では両方ひっくるめて「act」で表されます。

彼女はまた、アウグスティヌスの『神の国』に注目し、その中で自由が内在する人間の性質ではなく、世界における人間存在の特質なのだという概念が現れていることを指摘しています。

人間は、すでに存在している世界に「ある始まり」として出現し世界を存続させる役割を担う。それゆえ、人間であることと自由であることは同じことなのだと述べているのです。

このようにアーレントの「自由」の概念はかなり独特なものです。ですが、近代的個人的な「自由」の限界を乗り越えるための示唆を、アーレントはしてくれているのではないでしょうか。

まだすべてを訳し終わっていないので、次回も続きを行う予定です。

最後に、参加したM1 の学生の感想を紹介します。

普段政治思想を勉強することはあまりないので、他校や他学部の学生と一緒にハンナ・アレントの『自由とは何か』の抜粋を読めたのは良い経験でした。英語話者として訳しづらい単語のニュアンスや、意味を理解するために重要と思う点の説明で、貢献できた事が嬉しいです。古代文化の「自由」の概念が現代とは違うのが興味深い。市民的活動を行う自由であり、市民として参加した決定ではあるが、全体の決定に個人は縛られる。現代の「自由」は個人として他人に干渉されない自由。最近の話題だと「忘れられる権利」はその価値観の象徴ではないかと思います。また翻訳する会に参加したいと思います。

学生の皆さんのためになる読書会をこれからも実施していこうと考えています(S.K)

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